半日設計その3ー上海城市彫刻中心を商業施設に
上海城市彫刻中心を商業施設にする課題。
中国人は以前に比べて裕福になり、物欲に対して成熟してきました。そんな中国において、今後産業として発展の可能性が見込めるのは健康産業ではないかと思います。スポーツ、美容、健康、この3つが今後の中国において重要な位置づけを獲得すると思います。
そこで私は、上海城市彫刻中心をスポーツと健康の商業施設に転用します。
新しい上海城市彫刻中心は、主に2つのタイプの人をターゲットにしています。1つは、上海市内を走るランナーです。ランナーのためのレンタルシャワーやロッカー、計測機器のサービスなどを行います。
もう1つのターゲットは、運動不足の人たちです。彼らのために、大規模な屋外運動施設やスポーツジム、スポーツインストラクターによる講習教室などを提供します。
この場所を商業施設に転用するためには、3つの問題を克服しなければなりません。1つめは、人がわざわざ奥まで行く目的がないこと、2つめは、広場が使われていないこと、3つめは、建物群が道から離れていてわかりにくいことです。
1つめの問題に対して、アンカーテナントを奥に配置し、その途中にある建物に一般テナントを配置します。そうすることによって、人が奥へ行く目的を与え、人がこの敷地をまんべんなく歩くことが期待できます。また、アンカーテナントに行くまでの間に一般テナントを配置することによって、一般テナントの集客性を向上させたいと思います。
2つめの問題に対して、広場を屋外スポーツができる場所にします。
その周囲には、スポーツの疲れをとるための施設や、カフェ、スポーツ用品店などを配置します。
3つめの問題に対して、広場の活動を前面道路に映し出す大きな鏡を配置します。
道からは広場の活動が見えるので、来訪動機が高まることが期待されます。
以上のようなスポーツと商業施設のコンプレックスを提案します。
半日設計その2ーIFCを創意園に
上海ランウェイ中心
上海国金中心(IFC)は、上海の商業の中心地「浦東新区」に位置しています。ここは、主に観光客と地元の若者が集まる場所です。地価が高く、周辺の建物の賃料は高額です。
上海国金中心は終日多くの人でにぎわっています。現在の上海国金中心は高級ブランドショップが軒を連ねていまが、ブランド店舗が集中している1階は閑散としています。ブランド物を買いにくるというよりは、この場所にショウオフをするために訪れる人が多いのではと思います。そういう人たちがより自由に楽しく振る舞えて、且つ、経済活動とクリエイティブ活動が互いに高め合えるような空間を計画します。
上海国金中心はランウェイです。上海国金中心を訪れるすべての人はショーの出演者です。すべての出演者は上海国金中心において美しく仕立て上げられます。
上海国金中心は来訪する人たちに対して、ファッションのみならず、美、健康を与えます。また、それを show off してもらいます。
以下のプログラムが入ります。
1:既存の高級ブランド店舗
・GUCCI
・PRADA
・Dior など
2:ファッションアーティストのSOHO
・ヘアメイクアーティストのオフィス兼店舗
・服飾デザイナーのオフィス兼店舗 など
これらのテナントは一般の美容院やファションテナントとは異なり、各人オリジナルのファッションを提供するものです。高級な店舗です。
3:健康志向の飲食店
ショップひとつひとつが有名デザイナーのサテライトオフィスになっていて、有名デザイナーがしばしばここで創作活動を行います。生産者の顔がわかる野菜はそうでない野菜に比べて売り上げがあがると言われますが、デザイナーの顔が見える商品は売り上げ向上に貢献するかもしれません。
アーティストによって美しく仕立てられた人々が空間を歩くことによって、その人自身がアーティストの広告媒体となります。上海国金中心が、アーティストの宣伝活動の場になります。
半日設計その1ー8号橋2期を商業施設に
こんばんは。安部井です。
今日は半日設計。13時から18時までの5時間で、一つの敷地に一つの仮想プロジェクトを提案。
今回の課題は、8号橋2期を商業施設にすることによって、仮想デベを喜ばせる、というもの。
8号橋2期とは、kmsが設計した創意園と呼ばれる建築です。創意園とはクリエイティブワーカーのための空間です。事務所から歩いて5分の距離、上海の中心からは車で30分の距離に位置しています。建物の東には局門路という道が通っています。敷地の北側には学校、道をはさんで向かいには創意園、南にはオフィスビルがあります。kmsでは現在、この局門路全体を改修しています。将来は、クリエイティブ層が集まって活動するための一つの拠点となるように計画されています。
タイトル
コミュニティリボン
ー商業とオフィスをつなぐ媒介ー
8号橋2期にリボンを挿入することによって全体の賃料を上げる提案です。
現状分析
・広場が使われておらず、閑散としている。
・局門路に対して建物が奥にあり、通りから建物が見えないため、そのままでは商業施設には向かない。
これらの問題を解決しながら商業施設に転用する計画を提案しなければいけない。
ターゲット
局門路で働くクリエイティブ層及び建物周辺の住民。
プログラム
不特定多数が接する局門路に面したところには商業の機能を、不特定多数が接しにくい、道から距離があいた場所には創意園を配置する。
道に面した広場:商業の広場(飲食、小売店舗など)
奥まったところにある広場:クリエイティブ層のための広場(クリエイティブ層が刺激を受けるようなテナントなど)
青い線で囲われた建物:ショールーム併設のオフィス
その他:クリエイティブオフィス
空間
リボンは商業とオフィスをつなぐ媒体。
リボンは商業テナントの賃料を高める
・局門路にせりだしたリボン(図1)は、局門路を通る多くの人に対して、建物への来訪動機を与えます。
・宙を舞うリボンは、人を上階へ来訪させる動機を与え、足下と2階以上の賃料の差を縮めます。
・リボンはこれまで関係が無かった向かいの創意園をつなげ、両棟の賃料を上げます。それは、局門路の価値を高めることに貢献します。
リボンはオフィスに付加価値を与える
・ショールーム併設のオフィスを集めたブロッグの中をリボンが突き抜けます。
・リボンは、これまで8号橋〓期には無かったオフィスワーカーのための休憩場所になります。
サマレクまとめ
こんばんは、安部井です。
おなかを壊してしまい、3日目以降のブログを中断してました…
3日目以降、サマレクをしていただきました。
サマレクでは、商業施設を設計する上で必要な知識を教えていただきました。内容は、
1 SCについて
2 ブランディングについて
3 創意園について
4 アーバンラウンジ試論
の4つです。その中で僕が気になったことを書きます。
1 SCについて
・テナントと賃料の関係
高低)
左:集客性
右:賃料
高 キーテナント、アンカーテナント 低
サブキーテナント
トラフィックプラー
低 一般テナント 高
SCを計画するときに最も重要なことは、核テナント(キーテナント、アンカーテナント)を入れることです。人は核テナントを目的にやってくるので、これがないと事業が成立しません。
SCは核テナントに入居してもらいたいので、核テナントに対して優遇措置をとります。その一つが賃料です。核テナントには賃料をほとんど課しません。
そのかわりに一般テナントから賃料をもらいます。これがデベロッパーやオーナーの主な収入源になります。一般テナントは、集客性の高い核テナントの近くに店を構えることによって自身の集客性が向上するというメリットがあり、賃料を差し引いても一定の収益性が見込めます。
・テナントミックス
上記した4種類に区分されたテナントを一つの建物に配置するとき、それぞれどういう位置関係で配置すれば、全体にまんべんなく人が回るのか。
例えば、
不特定多数との接点が弱い上の階に核となるテナントを置き、人を上に行かせる
核テナントが複数ある場合は互いの距離を空けて人を行き来させ、あいだに一般テナントを設けてそれに人を呼ぶ
などがあります。イオンなど商業施設の大手は、経験則に基づいて最適なテナントミックスを行っています。
建つ場所によっても異なります。郊外に建つ場合は施設計画の内側でおさめられますが、都市に立つ場合は周辺との関係(周辺の店舗、動線、アクセスポイント)を考慮しなければなりません。
2 ブランディング
・ウォンツとニーズ
どうやったらクライアントがデザインを買ってくれるか。クライアントにデザインを買ってもらうには、クライアントが必要なものを提供しなければなりません。クライアントが必要としているものとは何か。それには、顕在化したニーズと、潜在化したニーズがあります。
潜在化したニーズとは、クライアント自身も気づいていない本質的な要求です。それを発見してクライアントに提案することが、建築を設計する人間の役割であるということです。そのためには、クライアントと綿密なコミュニケーションを図ることや、クライアントの立場になって考えることなどが重要です。
・事業収支計画
日本ではプロジェクトを10年で黒字にする計画を立てるそうですが、中国では3年で黒字にしなければならない。普通にやってもいかないので、戦略が必要。例えば、
・建物が建設途中でもテナントが入り次第オープンする。
・商業施設を建設するために計画敷地内に集合住宅をつくる。中国だと住宅はすぐに満室に。住宅で得た資金で商業施設をつくる。
とか。お金を回すことに関しては、中国の方が日本に比べて圧倒的にうまい気がしました。
3 創意園について
・創意園 = 工場、倉庫の転用 × 創意産業クリエーター
創意園とは、働く、住む、遊ぶの3つの機能を混在させた、24時間の活動空間。オン/オフの区別が曖昧なクリエイティブ層の活動空間として構想されたものです。
クリエイティブ層が刺激を受けるようなオフィスやショップ、カフェ、ギャラリーなど、クリエイティブ層の活動に刺激を与えられるようなテナントが入るようにコントロールされています。
ビジターとオフィスワーカーが交わる場所、交わる動線が生まれるような平面構成になっています。
4 アーバンラウンジ試論
・商業施設はどうすれば建築の表舞台にたてるのか
なぜ今たててないのか。
その理由は、
・建築家が事業の目的性を考えないから
・儲けるための形態原理ができあがっているから(イオンモールなど)
商業施設が建築の表舞台に立つためには、建築家が商業施設を設計することの優位性を示さなければなりません。建築家が設計することの優位性とは、従来プログラムで売り上げを伸ばすことに主眼がおかれていた商業施設の施設計画に対して、空間構成で売り上げを伸ばす視点を提示することです。
・水平/垂直プランニング
商業施設を水平に計画する場合
①アンカーテナントの位置、②小売店で儲ける、③駐車場が取り囲む
商業施設を垂直に計画する場合
①上階に人をあげる、②20%理論、③高さによる賃料の分布、④高さによる目的性の違い
・サードプレイス
商業施設は単に消費のための場としてだけでなく、地域のコミュニティや社会的なコミュニティの担い手として、新しい意味合いをもつようになってきました。そのことを示す概念が「サードプレイス」です。サードプレイスとは、日常生活において、家と仕事場に次ぐ第3の居場所という意味です。
以上です。サマレクの内容で気になったことを断片的に書きました。文字だらけですみません。
今、経済があらゆる生活の場面をつくりだしています。建築も例外ではありません。建築を考える人間は、建築と経済の接点を空間に落とし込んでいかなければならないのだと思います。
サマプロ02日目ー!
こんにちは、安部井です。
2日目の報告をします。2日目は
・上海城市雕塑艺术中心
・淮海中路
・上海时尚园
に行きました。
今日からは2人と3人のグループに分かれてのフィールドワーク。メンバーは日替わりで、今日は前田さんと増田くんの3人で行きました!
・上海城市雕塑艺术中心
何かの工場だったところを、店舗やオフィス、美術館などが入るコンプレックスにコンバージョン。中央に大きな広場と、それを囲むように建物が配置されています。
内部は入れ子の空間。倉庫のスケールの中に、ブリッジや階段、スキップフロア的な床など、ヒューマンスケールの空間がちりばめられています。
トップライトから差し込む自然光が空間をやわらかく照らしています。
・淮海中路
道に沿って並木が植えられ、商店や住宅などがならぶ繁華街。上海フランス租界の主要道路だったらしく、組積造の建物が立ち並んでいる。今はお金持ちが住むエリア。コンクリートの塀が通りの両脇に、塀の向こう側には団地が。
・上海时尚园
美術学校と商業施設のコンプレックス。
台風の接近のため、3時過ぎにフィールドワークを中断。上海に台風が上陸すれば40年ぶりの出来事らしく。
2日目以上。
1日目、2日目を終えて、創意園(creative office)と呼ばれる建築をいくつか見ました。正直、まだ創意園が何なのかはっきりとわかっていません。それはなぜかというと、創意園の目的が何なのか未だピンと来ていないからです。上海のcreative層に心地よい職場を提供することなのか、周辺の価値をあげることなのか、他の目的があるのか。
また、僕は創意園が歴史に残るか否かということに興味を持っています。創意園が上海の建築の歴史の中でどう評価されるべきなのか、ということです。創意園と呼ばれる建築ができてからまだ日が経っていないので、それについて考えるのは時期尚早だとは思いますが、せっかくの機会なのでサマプロ期間中に自分なりの解釈を提示できたらなと思います。
まだ3日しか経ってないとは思えないくらい1日1日が濃い…
サマプロ01日目ー!
こんばんは、安部井です。サマプロ初日の報告をします。
午前中はフィールドワークを行いました。1日目は
・8号橋(1期、2期、3期)
・田子坊
の2箇所。
8号橋は、創意園(creative office)と呼ばれる建築。上の写真は3期。kmsがつくりだした新しいジャンル。クリエイティブな仕事をする人たちが快適に過ごせる環境を創造しようとして計画された建築。
1階にカフェが数店舗、ポケットパーク、上階には創造性の高い仕事をする人たちのオフィス。建物は分棟で、棟と棟の間にはアトリウムが設けられています。アトリウムは通りに向かって開放されていて、都市の街路の一部のよう。
通りから離れたところにカフェや店を設けていて、人を奥まで取り込む工夫が見えました。また、アトリウムの配置が人を回遊させるようになっているのも気になる。
その意図を建築的にどうやって解いているのかがとても気になりましたが、今回のリサーチだけではわかりませんでした。サマプロ期間中に創意園のレクチャーがあるので、それを聞いてからもう少し考えてみたいです。
田子坊もとてもよかった。
狭い路地が迷路のように複雑に入り組んでいて、いろんな店や住宅が混同しながら密集した地域です。元々は住宅だった場所に店が増えて、自然発生的に生まれた街です。
上海の一大ショッピングエリアになっていて、多くの観光客や地元住民でにぎわっていました。路地が迷路のようになっていて、探検する感覚を楽しめました。
また、小さな隙間に人が寝ていたり、建物と建物のズレによって生まれたスペースで数人が麻雀をしていたり、誰かの家の台所を通って店に入ったり、そこに住む人々の生活の痕跡に接することもできました。
猫
建物や路地の配置をそのままに全体を小学校にコンバージョンしたら面白いだろうなーとか思って眺めたり…
上海には同じような空間構成の新天地と呼ばれるショッピングエリアがあるそうで、そちらは一からディベロッパーが計画してつくりあげた街だそうです。サマプロ期間中にフィールドワークできるそうなので、両者を比較して改めて考察できたらなと思います。
午後は自己紹介プレゼン…自分は個性が弱いと改めて痛感、、、みんな、すげーな。。。
その後、サマプロ生みんなで夕食へ。過去に上海で過ごした経験のある増田くんに連れられて、常熟路らへんにある刀削麺のお店へ。最高。
昼とは違った上海の表情を見ながら、ゆっくり帰宅。上海に来てからは、こんなに楽しいことがあっていいのかと思うくらいに楽しい時間が続いています。
ではまた近々!